不器用先輩と不器用後輩の水族館部を巡る物語「熱帯魚は雪に焦がれる」
このブログでは初となる漫画の紹介です。現在「次にくるマンガ大賞 2018」が開催中で、今回紹介する「熱帯魚は雪に焦がれる」がノミネートされています。
一般の人が1人3作品まで投票することで大賞が決まるのですが、この投票が2018年7月6日までということで、いつか話をしようと思っていたこの作品を推していこうと思います。
次にくるマンガ大賞2018 コミックス部門のノミネート作品や投票は、こちらのページをご覧ください。
作者は萩埜まこと先生(@93choco)、レーベルは電撃コミックスNEXT、コミックスは現在2巻まで発刊中です。キャッチコピーは、1巻の帯は「マジメ系不器用先輩と強がり系不器用後輩のガールズシップ・ストーリー」、2巻の帯は「水族館部×女の子×方言」です。
物語の始まりは、東京から田舎町にある七浜高校*1へ転校してきた主人公・天野小夏が、七浜高校水族館部のただひとりの部員で部長でもある帆波小雪と出会う、というもの。
たまたま転校前日に開催されていた水族館部の催しに半ば強引に入場させられた小夏が、小雪に声を掛けられ初対面するところから物語が展開していきます。
小雪は、七浜高校の生徒達から優等生で憧れの存在として見られています。しかしそれが周囲との距離が生まれる原因にもなっていて、真面目なタイプの小雪はみんなのイメージ通りに振舞おうとし、日常に少し息苦しさを感じたり、自然に振舞えず悩んだりする日々をおくっていました。
一方の小夏も、まだ転校してきたばかりで上手くクラスメイトと馴染めずにいました。転校前日に出会った小雪のことが気になり、何か会うための口実を探したところ催しの時に貰ったカスミサンショウウオの名前募集のことを思い出し、水族館部の部室へと向かいます。
周りとの距離感を感じて溶け込めず水族館部に一人でいる小雪ですが、優等生とか憧れというフィルターも無くありのままで接してくる小夏に、少しずつ惹かれていきます。
小夏も、一人でいる小雪のそばにいたいという気持ち*2から、水族館部への入部を決めます。
ちなみにこの辺りは1巻の第1~2話でのお話で、pixivコミックスにて無料で試し読みできます。僕の文章だといまいち魅力が伝わらないのかもなのですが、若干でも興味を持った人であれば、実際に読んでみると引き込まれていくと思いますので、ぜひご覧ください。
最初に紹介したキャッチコピーにもありますが、小雪も小夏も人間関係に不器用なところがあります。例えば、第1話でホースを使って水槽の水換えをしているところで小夏と間接キスになってしまったことに小雪があたふたしたり、第3話ではクラスメイトに誘われていた調理部ではなく水族館部へ入部したことに悩んだりと。
二人とも色々なことで悩みますが、どちらかが悩んでいる時にはもう片方が支えたり、時には周囲のアドバイスをもらったりしつつ、お互いに不器用ながらも距離を縮め、惹かれ合っていきます。
お互いにじわりじわりと距離を縮めていくのですが、その描写に無駄があったり展開が遅いと感じるかと言えば、決してそうでは無く。二人に起こるあらゆる展開が絡み合い、積み重なっていくことで二人が近付いていく、その過程がとても丁寧に描写されています。
前述の通り描写がとても丁寧で、メインとなる二人のキャラクターは個人的にどちらも好きですし、サブキャラも良いキャラが多いです。コマ割りも効果的で1ページ全部とか見開きになるシーンも印象に残ります。あと、たまに出てくるデフォルメキャラが可愛いです。
というわけで、長くなってしまいましたが「熱帯魚は雪に焦がれる」のお話でした。2巻までの展開にはかなりグッときているので、3巻も楽しみに待っていようと思います。